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僕が本当に面白いと思うこと

6月3日に京都で一人コントライブします。よかったらどうぞ。

「ハルカトミユキ」という女性デュオが好きです

「ハルカトミユキ」

「ハルカトミユキ」は、立教大学の軽音出身(だと僕は記憶している)で、今いくつくらいなんだろう、20代中盤くらいなのかな、僕が24なんですけど、僕より少し上くらいの世代のミュージシャンです。ボーカルとギターのハルカさん、キーボードのミユキさんからなる女性二人組のユニットです。後述しますが、かなりのウェイトで歌詞偏重型のグループです。

アングラ臭、邦ロック、女性アーティスト 、歌詞に特徴、となると、日本人なら椎名林檎がまず思い浮かぶと思います。椎名林檎以降、物凄くたくさんの女性アーティストが椎名林檎のフォロアーとなり、その背中すら見えないままに潰れていく、ということが繰り返されてきました。が、ハルカトミユキは椎名林檎とは違う道を歩いている人たちです。

椎名林檎とそのフォロアー的な「女」「色」をバンバンだすスタイルではなく、むしろ性の匂いがあまり見えないスタイル。歌詞の主人公はほとんど「僕」だし、ボーカルもショートカット。どちらかというとその世界観はSyrup16gとかART-SCHOOLあたりの、いわゆる邦楽鬱ロックのラインに乗っかってるんじゃないかと思います。

若干のアングラ臭が抜けてなく、かつそれが良かったりするので、どこまでメジャーになるのかは分からないのですけど、すっごい魅力あるグループだと思いますので紹介します。

音楽性

音楽のジャンルとしては、本人たちはフォークロックと言ってますが、サウンドの質感としてはamazarashiに近いというか、90-00年代あたりのロキノン系邦ロックの質感がありつつも、アコギが聞こえたり、けっこう鍵盤が鳴ってたりする感じです。

ほんで、何となく浮遊感というか、白昼夢感というか、ふわふわっとした感じの曲が多いです。シビアな切なさもあるんだけど、何か弱めの薬吸引してるときみたいな、なんかそんな感じの身体感覚を音で言語化してる感じです。

曲展開の王道パターンとしては、イントロ~Aメロはギターのコード弾きとキーボードのピロピロで進行して、だんだん音数が増えていき、サビでジャカジャーンってバンドサウンドになる感じ。歌モノの範疇をはみ出ない程度に轟音になったりします。

ただ、あくまでこれらは彼女たちの王道パターンであって、稀に椎名林檎がファンク路線でやってそうな曲調とか、ギター聞こえない曲とかやり出すこともある感じです。そういうのもさらっとこなすセンスは確実にあるんですけど、個人的にはシンプルな曲の方が好みです。

ちなみに、サポートのドラムは長らく僕が最も敬愛するバンド、Syrup16gの中畑お兄さんが叩いています。

 

ボーカル

ハルカトミユキの一つの武器はボーカルだと思われます。いかにも日本人な細目な声質の女性ボーカルなんですけど、すごいクリアな声質で、物凄くパワーがあるとか音域が広いとかではないんですけど、味のあるヘタウマ系なんじゃないかなあと。一定以上高い音はわりとしょっちゅう裏声っぽくなる感じです。

とにかく聞き疲れしない、しゃくりあげるでも、枯れるでも、ビブラートが強いでもない、癖のないクリアな歌い方で、スムーズに歌詞が入ってくる感じ。かといって媚びまくった可愛げ押しでもない。とにかく歌詞を目立たせることに特化した歌い方なんだと思います。

歌メロそのものはかなり美メロで、違和感ない展開でサビまで進行しつつ、色んなメロディを一曲の中に詰め込めるアイディアの豊富さもあって、すっごくキャッチー。印象に残るフレーズも多いし、言葉の乗せ方も丁寧。そして非常に滑舌がよい(こういう歌詞が武器の歌手は滑舌がよくないと本当に損だと思う)。

 

 

歌詞

それ以上に彼女たちの武器は歌詞なんだと思います。きっと彼女たち自身もそう思ってるはずです。もともとボーカルのハルカさんは短歌をされていた方で、デビュー直後のミニアルバムはタイトルが短歌になっているほどです。

なんだろうなあ、言葉の選び方に凄い特徴があるわけじゃないし、斬新な比喩があるわけでもないんですけど、直情的でありつつきっちり構成されていて、芯を食っている感じの歌詞です。僕はものすごく気に入りました。初期の熊木杏里さんの歌詞とか僕すごく好きなんですけど、なんかああいう感じの。日常的な言葉を使ってるんだけど、すごくかっちり何を見て、何を考えてるか伝わるというか。描写の能力が高いなあと。

 

"あの子が殺した蟻を一人で弔って 夕焼けこやけの鐘が鳴る"
-「未成年」

 

"薄いまぶたに口づけをする 何も見えなくなればいい
 口移しした生きている味 僕らの夜に出口はなかった"
-「ドライアイス

 

"幸せな言葉は白昼の夢のなか 現れては消えて行く
 落ちてゆく日々もままごと遊びも 本当のことだったのに"
-「マゼンタ」

 

"間違っていた答えは間違ったままで
 いつか普通の顔してまた次の春がくる"
-「Vanilla」

 

なんかこう、全体的に凄く言葉の精度が高いなあと。たまに耽美な感じとか、完結してる感じとか、かましてる感じが強すぎてこっちが気恥ずかしくなったりもするんですけど、基本的に言葉の力が強くて、きっちりミートしてくる感じがあるなあと。

最近の邦ロックで歌詞に特徴があるというとamazarashiが筆頭だと思うんですけど、amazarashiに比べると説明的じゃないというか。想像の余地を行間に残しつつ、抽象的ではなくて分かりやすい。そのへんの堅実なバランス感覚があるなあと。

 

試聴

というわけですので、ちょっと聞いてみてください。Syrup16gとかBURGER NUDSとかあの頃の邦ロックが好きな方や、熊木杏里とか柴田淳あたりが好きな方ならお好きかと思います。あとは歌詞を読みながら聞くタイプのJ-POPリスナーにも意外と受け入れられるんじゃないかなあと。

逆に、歌詞なんか興味ないよっていうタイプの人には雰囲気モノのサントラにしかならないかもしれません。かなりのウェイトで歌詞ありきの音楽なので。

 


ハルカトミユキ "ドライアイス" (Official Music Video)

 

 


ハルカトミユキ 『その日がきたら』

 

 

Taiki Obonai 2014-