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僕が本当に面白いと思うこと

6月3日に京都で一人コントライブします。よかったらどうぞ。

M-1グランプリ2016一番手「アキナ」について

今年のM-1グランプリのトップバッターはアキナというコンビです。ちょっと思うところがあるので記事にします。

 

アキナについてはテンプレで語られる話ですけど、一応なぞっておきます。

アキナの二人は、もともとは現ジュリエッタの藤本を加えたトリオ「ソーセージ」として活躍していて、時に西のパンサーとも呼ばれ、ブレイク間違いなしの位置にいました。しかし、藤本の不祥事につきトリオは解散してしまう。ちなみに、ソーセージ時代は藤本が一番目立っていました。

その後ソーセージの残り二人、秋山と山名が組み、「アキヤマ」と「ヤマナ」だから「アキナ」というコンビ名になった、と。この辺のストーリー性が、まずアキナの魅力としてありますよね。雑草感というか。一回地獄を見ているというか。

さて、そんなアキナの今年のM-1勝負ネタは、ソーセージ時代の『トリオコント』を、『二人の漫才』に大きく改造したものです。恐らくネットで探せばトリオ時代のコント動画も出てきますから、この辺の移植・改造の感じも分かるかと思います。諸々いじってあって、同じネタではあるけど全く違う内容になっています。

 

ソーセージのことはいったん置いておくとして、とにかく、アキナに関しては、ヒューマン中村がやっているネットラジオを見ていただければわかることなのですが、THE MANZAIで3位を獲ったときの漫才の型、あれをどれくらい残すか、それとも全く違うものをするかっていう葛藤があったんだろうと。

アキナのTHE MANZAIの時の型というのは、オーソドックスなスタイルで「俺はアレやるからお前アレやって」式のコントインする漫才ではあるんですけど、その中でところどころにアクセントとなる大喜利型のボケが入る形で。

やり口も非常にシンプルで、「ここで●●な言葉!」という端的なフリと、「××」という強いワードのボケ。

僕はあの型を見たときに、あ、これはスリムクラブだ、と思いました。スリムクラブがM1の2010年、2位になったときのネタもまた、大喜利的な型というか。真栄田が「あなた毎晩お話してくれたでしょう」と振って、しっかり間を取ったのち(つまりお題がきちんと理解されたのち)、自ら「××」と落とす。あの感じを二人でやっているんだな、と。大喜利っぽい問と答えの対応関係を残しているからこそ、わかりやすくもなるし、ガツンとウケやすくもなる。

そういうネタをやって、ガツンと受けたのが、漫才師としてのアキナの全国デビューだったわけです。

たけしにはTHE MANZAIの番組内でパンクブーブーに似てると言われ、あとはネットなんかだとNON STYLEに似てるだとか言われてましたけど、その辺は表面的な語り口の触感とか、ボケの種類の問題で。とにかく、このボケ方は大喜利だ!スリムクラブがウケたのと同じ理由でウケてる!と僕は思ったわけですよ。

 

そんなTHE MANZAIの頃の型を、去年2015年のM-1では、アキナはあえて捨てたんですね。そして割合オーソドックスなコント漫才をしたと。NON STYLEに似てるとか言われるのも嫌だったんでしょう、テンポにしてもボケの感じにしても、ちょっと個性を出した感じにしていた。

結果、アキナは去年のM-1では準決勝にも残れなかったわけです。

この辺に関して、ヒューマン中村さんのネットラジオでまんま山名さんが言ってるんですけど、パンクブーブーの哲夫さんに、M-1にはTHE MANZAIの型で出るのか?と聞かれ、いいえ、と。違うのでやります、と答えたと。そしたら哲夫さんの方から、もったいない、と。あの型のポテンシャルが10だとしたら、まだ1か2だぞ、と返されたと。

その辺はもう、パンクブーブー哲夫さんの漫才職人的な矜持というか、エールというか、きっとそういうものがあったんだと思うんですけど、結局アキナは去年のM-1ではTHE MANZAIで3位になったネタとは切り離されたものをやって。

 

それが今年、アキナは決勝まで勝ち残ってきた、と。そして、今年のネタなんですけど、準々決勝のバージョンのオチの部分を見て気付いたんです、あ、これTHE MANZAIの時のやつだ、と。

なんかもうそこで感動しちゃって。もちろんものすごく面白いボケの部分で、めっちゃ笑ったんですけど。なんかもう、その辺から、THE MANZAIで3位になったときのアキナと、昔のトリオ時代のソーセージの頃と、色々昇華したうえでの今年の決勝進出なんだろうなあって思いまして。

ぶっちゃけ一番手なので、優勝とかどうだとかってのはかなり厳しいと思うんですけど、今年、アキナが、あのネタで決勝行って、たぶんあのネタをやるんだろうなっていうのは、本当に楽しみというか。わくわくするものがあります。

Taiki Obonai 2014-