僕が本当に面白いと思うこと

社会学専攻の京大院生の諸々

M-1グランプリ2015 各ネタ感想

M-1グランプリ2015の各ネタについて感想を述べていこうと思います。鬼のように長いです。総評については以下の記事に簡潔にまとめてあります。 

 

メイプル超合金「犬飼いたい」

ダークホースとして決勝に進出した男女コンビ。紫のデブと赤いマッチョ、見た目のインパクトもかなりありましたが、ネタもしっかり面白い実力あるコンビ。ボケのヤバい奴、カズレーザーは、さらば青春の光森田の元相方。ツッコミの安藤なつはピンでたまにテレビに出ていますね。

いやあ、ここはめちゃくちゃウケてましたね。トップバッターでここまでウケているのは2005年笑い飯以来なのでは?かなりのウケ量で、大会全体の好調に貢献したコンビだと間違いなくいえるでしょう。順番に恵まれず敗退となりましたが、ウケ量でいえば銀シャリトレンディエンジェルに劣っていなかったのでは。

漫才の内容としては本筋を無視した脱線ボケが中心で、そのフレーズの響きやカズレーザーのむちゃくちゃぶりを楽しむタイプのネタです。系統としてはHi-Hiに近いのかな。適当系ぶっこみキャラとしては2015年の最新型。ボケはフレーズの響きが面白いものからスタートして、段々にカズレーザーの個性を打ち出していく、という配列になっています。テレビで初披露のネタとしてみるならば、かなり良い構成でしたね。

しかしその一方で、勝つためのネタとしては満足いかない部分もありました。メイプル超合金の一番面白いボケを、もっとこれでもかと詰め込む方法もあったと思うんですよ。彼らのネタって、どんなテーマでもボケを切り貼りできる種類のネタですからね。二本目なんて考えず、彼らの鉄板フレーズ、「俺はバグってるよ?」とか「一方その頃、この舞台上では!」をぶち込んでもよかったのではないでしょうか。

また、「賛否両論」を噛み倒してしまったのは本当に残念です。彼らのネタの中で一番笑いが取れる部分であり、何ならそれまでのネタ全部は賛否両論のための布石みたいなものなんですから。あそこが決まっていれば、もう一山笑いが起こり、得点も伸びていたかもしれません。

僕は基本的に話のしっかりした、題材に沿ったネタが好きなので、正直ちょっと好みからは外れるのですが、彼らにそれを求めるのも変な話。ただただ楽しく見られる漫才という意味では、優勝したトレンディエンジェルに通ずるものもあります。来年は優勝候補になるかも。あるいは、もしかしたらこれから一年のテレビでの消費具合によっては、同じ型だと飽きられるかも。「ブパパブパパブパパ~」

 

②馬鹿よ貴方は「おにぎり屋」

弱いモブキャラみたいな新道と、悪の強キャラ科学者みたいな平井ファラオ光のコンビ。世間的にはほとんど知名度のない、ダークホースの扱いでしょう。去年のTHE MANZAIでも決勝に出ていますが、強い印象は残せずに終わりました。

しかし今年は良かったですね。会心の出来でした。独特過ぎる脳味噌のツカミから好調で、終盤までウケがいい感じに持続、爆発ポイントもありましたね。これくらいのテンポ、内容のネタがM-1決勝でこれだけウケるのは初めて見たかもしれません。千鳥もPOISONもなしえなかった、日常会話に近いテンポの漫才で、きっちり構成通りウケ切ることを達成しました。

馬鹿よ貴方はのネタって、独特の間にばかり注目が集まりますが、実は丁寧なフリにこそ特徴がある漫才なのではないかと思います。まるで4コマ漫画かのように、丁寧に振り、丁寧に落とす。やってることはとてもオーソドックスなんですよね。

平井ファラオ光の不穏なキャラ、ゆったりとした間のためにオードリーやスリムクラブと比較されることが多い彼らですが、オードリーほど特殊な掛け合いをしているわけではありませんし、スリムクラブほど特殊なワードを使っているわけではありません。ひたすら丁寧に振って、丁寧に落とす。もしかしたら、今一番おぎやはぎに近いコンビなのかもしれません。

今回のネタは、ほとんどのボケを丁寧に振っているぶん、手数が少なすぎたようにも思います。「お釣り多め」のような唐突なボケでも十分笑いを取れるコンビなので、強いワードを突然放り込むような件が他にもあった方が充実度は高かったと思います。

後半一分は、そりゃ当然、好き嫌いあるでしょう。僕は大好きです。「大丈夫」の連呼、そして「大丈夫」自体がフリになっていて、客の頭をそこに逸らさせてからの「ひし形」、そして「ひし形」自体もフリで、再び連呼、この流れがばっちり決まっていました。

ところで、馬鹿よ貴方はの時の客の笑い方はなんだか不思議です。客それぞれに笑いだすタイミングが違うのか、波のように、じわじわと浸透しては去っていくような、不思議なウケ方をしていましたね。

もしかしたら最終決戦にいったのでは?と思いました。ここはもう、最終決戦に行きさえすれば、謎の店ネタで優勝が見えるコンビですから、かなりワクワクさせられましたね。実際のところ、この後のコンビもほとんどがウケ、結果として出番順の悪かった馬鹿よは敗退しましたが、十分にM1で戦えていました。まだまだ底が見えないコンビ。来年も決勝に行けそうな匂いを感じます。「顔をひし形にしてやろうか」

 

スーパーマラドーナ「落ち武者」

弱そうな田中と強そうな武智のコンビ。馬鹿よとはまた違ったジャンルの弱そう・強そうです。武智の強いツッコミが特徴で、関西では中堅どころの地位。かなり正統派の手堅いネタをするイメージです。

ところが今回のネタはかなり挑戦的。ボケの田中は一人二役でコントから出て来ない落語形式。ツッコミの武智は解説ツッコミをしていく、という構図です。漫才のスタイルとしては、解説ボケの川島、動きツッコミの田村という構図を取る麒麟の派生形といえるかもしれません。あるいは、二人の掛け合いがない、ディスコミュニケーション型の漫才という意味では、プレゼンターの塙、訂正の土屋というナイツの派生形ともいえるかも。

僕はね、今回のスーマラには、予選の段階から凄く期待していたんですよ。今までのスーマラは、武智の強いツッコミが客に引かれることが多く、今一つ突き抜けない印象でした。しかし今回は、田中に超絶サイコボケを連発させることで、武智が強くツッコむことに正当性を与えたネタを持ってきました。結果、一つ一つのボケも強くなり、漫才としての爆発力が高まりました。

ただね、ちょっと漫才の序盤のボケが弱かったかなあ。ツカミの暗い過去の話とかは、彼らの定番なんですけど、M1で見ると贅沢な時間の使い方に見えてしまう。いきなり落ち武者の話に入った方がよかったかもしれません。

また、落ち武者の話に入ったら入ったで、一つ目の大きいボケまでが遠いんですよね。予選では、比較的早い段階で「お尻触っても良いと思った」が放り込まれるので、空気を掴みやすいんですが。

とはいえ、「即死」以降、後半からはかなりグーンと伸びて行きましたね。伏線回収や強いボケの連発でかなり湧いていました。準々決勝のときは、ずっと「即死」くらい強いボケが続いていたのですが、うーむ。ボケの改悪も多かったかもしれない。田中がもっとバチバチにハマってる絵を想像していただけに、ちょっと残念かな。ブラマヨ・チュートを想像させる仕上がりだっただけに、決勝で伸び悩むのはちょっとさみしいなあ。

一応、ここまでで最高点獲得。正統派だからっていうことでしょうか。ネタでいえば決勝三組に劣ってはいなかったと思います。負けはしたものの、株は上げたのではないでしょうか。「どうなる予定やったん?」

 

④和牛「結婚式」

決勝八組の中でも、技術力ならばトップクラスであっただろう和牛。水田の屁理屈の破綻しなさのレベルはかなり高い。同じ種類の漫才をする人たちはたくさんいますが、ここまで徹底して現実的な屁理屈漫才はありません。笑いどころの中には、水田が必ずしもボケではなく、川西がボケ的になっている部分もあります。巧みだなあ。どっちがボケとかツッコミとかでなく、一つの世界観に基づいて笑いどころを積み重ねていく作風はかなり僕の好みです。

と、水田ばかりに注目がいきますが、川西の女性リアクション芸もかなりのレベルです。ここまで女役が巧い男性漫才師は他にいないんじゃないでしょうか。と、このように和牛は二人とも抜群の技術と安定感があるのですが、今回はそれが裏目に出た格好になったかと思います。

会場がかなり熱気があり、湧いていたこともあって、間を取って丁寧にストーリーを展開していく和牛のダウナーな漫才は、ちょっと空気に合ってなかったんじゃないかなあと。もっと重い空気だったらここまででダントツのイチウケになったかもしれません。いやはや、空気や順番は難しいですね。

その一つの証拠が、後半の「好きな人の涙を見るのは辛い」の部分です。ここは、そこまで結婚式を抜け出してきた元カノを責め続けていた水田が、急に元カノに歩み寄る部分です。和牛のこのネタの面白さは、このフレーズに集約されています。緊張と緩和、ってやつです。さっきまで責めていた奴が、急に「好き」などという。このギャップ、感情の読めなさ、サイコっぷり溢れる転換点は、この漫才に和牛が設定した一つの仕掛けでした。

本当ならば、「好き」で引き気味の笑いが起こり、そこからもう一度詭弁に戻るところで、客席はドカンドカン湧くはずだったのです。ところが、客席からは「フー!!」とバラエティで狩野英孝がキザなセリフを言ったときのノリのリアクションが飛んできました。

ここが和牛の落とし穴でした。あまりにも客に熱量があったこと、あるいはここまでに「馬鹿よ貴方は」「スーパーマラドーナ」と性格の悪い漫才、ブラックな漫才が続き過ぎていたこともあって、水田のサイコパスっぷりが、完全に受け入れられてしまっていたのです。となれば、その後の水田の詭弁に、川西が「怖い怖い」と言っても、爆笑は起こりません。「結婚できるかー。」というオチにも笑いが起こらない。今田は二本目見たい発言するなど、好きだったのかしら。

とにもかくにも、和牛のネタは、客が水田に100%共感して、水田を格好いいと思ってしまえば成立しないネタなんですよね。ところが、そうなってしまっていた。敗因はそこに尽きます。和牛自身が期待していたような結果にはなりませんでした。今大会を通して言えることですが、全ては順番の妙。「怖い怖い怖い~!」

 

ジャルジャル「映画(言葉遣い)」

ジャルジャルが持っている漫才の中で一番面白いネタですね。ABCお笑いグランプリもこのネタで獲っています。同時に、今回決勝に並んだ漫才の中では一番システマチックなネタでした。このネタは1stラウンドの中でも出来が段違いでしたね。構成に沿って、狙い通りによくウケていたのではないでしょうか。天丼もバチバチハマり、いい感じに間を崩している部分もカッチリウケていましたねえ。ジャルジャルを低評価していた人たちも、この出来なら文句は言えないでしょう。客がシステムを理解してからは、拍手笑いがドカンドカン、ずっと笑いが切れないすさまじい出来でした。

ネタとしては話題そのものは関係なく、ミニマムな言葉遣いや語法、話法に注目し、無意味な言葉のミスと訂正の応酬のネタです。ボケ方のミニマムさは若干ナイツっぽさもあり、ネタのフォーマットは笑い飯を彷彿させます。ただ、このネタはそれらの模倣ではなく、とても変則的な、オリジナリティある笑わせ方をするネタです。そしてその変則性こそがこのネタがウケた要因です。

というのもこのネタは、ボケが発せられてからツッコミが入るまでに時差があり、その間に客が笑いどころを発見する仕組みになっているのです。同じボケを何度も連発し、一回目はスルーするものの、二発目、三発目以降で「もう我慢できない」とばかりにツッコミが入る。これはエレファントジョンが得意とする手法ですが、このネタは全てのボケをそのフォーマットで統一しています。

あるいは、あえてスベる件「りんぐりりんぐり」を入れる、というのはキングコングのお口チャックマンと似ていますねえ。「もうええわ」の連発はちょっとメタ漫才っぽい。

そんな風に考えると、このネタは色々な種類の漫才のキメラみたいなネタなのかもしれません。ジャルジャルがどうやってこのフォーマットを思いついたのかにも興味がありますねえ。

もちろん、中川家礼二の言う通り、同じ件が繰り返されていくだけのネタといえばそうですし、それで4分持たすのはどうか、というのもあるでしょうが、企画の独自性、着眼点の新しさもあり、一種の構成的美をもったネタであることは間違いないありません。かなり僕の好みのネタです。いやあ、面白かった。「雷坊主の添い寝節か!」

 

銀シャリ「料理のさしすせそ」

見た目・喋りのコテコテ感に騙されがちですが、銀シャリの漫才はかなり若手っぽいネタ運びですよね。このネタも、【『さしすせそ』に言葉をあてがう⇒そーで味噌⇒『』に言葉をあてがう⇒ソで味噌】をループしていくネタで、いかにも若手がやりそうな、何なら僕が漫才作るにしてもこんな構成にするやろな、といった具合にシステマチックなネタです。

それでもやり取りに有機的なものを感じるのは、鰻と橋本の喧嘩の要素があるから。ここまで掛け合いを全面に押し出したネタが無かったために、良い意味で目立ちましたね。鰻が執拗に「ソで味噌」を連呼する部分にはある種の狂気も感じます。銀シャリの面白い部分って、僕はそういう鰻の意味不明なしつこさだと思うんですよね。KOCのネタでも「僕が警察です!」は最高に面白かったし、5年前のM1でも「知ってるー!」「自分で思い出したい」などの頭おかしめのフレーズが良かった覚えがあります。良い所が出ていましたね。

もちろん、橋本の活躍もありました。鰻は狂気ターン以外のボケはかなり弱いボケというか、ベタなボケが多かったのですが、いい感じに橋本が増幅させていましたね。

特に、「ボンジョビ」はよくやっているツッコミですが、これがハマっているのは初めて見ましたね。余談ですが、何だか銀シャリって、ネタ運びは若手っぽいけれども、笑いを取りに行くワードは何だか古いことが多いようにも思います。前回のM1でも「ジャクソン5」とか例えで使っていましたし。

ただ、一方でウケ具合に比べて得点は高すぎるかなあとも思います。ここまでジャルジャル含めどのネタについても、叩こうと思えば叩くところのあるネタでしたから、ウケても点を低くつける審査員がいました。しかし、銀シャリについてはそういう大きな減点ポイントがなかったこともあり、全体的に90点前後がつき、結果として高得点になったのではないかと思います。

 

⑦ハライチ「誘拐」

ハライチは今回のメンツの中だと、一番M1でブレイクした感のあるコンビです。だからこそ世間の期待もあったことでしょう。ノリボケ漫才をやらなくなったのがここ3年くらいでしょうか。澤部のリアクションを楽しむ趣は残しながらも、段々にオーソドックスなコント漫才にスイッチしていきましたね。

今回のネタは岩井が緊張していたのか噛むポイントが多かったことに加えて、澤部もなんだか間がおかしく、全体的にダレる部分もありました。シンプルに出来がよくなかったですねえ。ここまでで初めて明確にスベったかなあ、という感じがしました。

今回のネタは三部構成になっていました。第一部は澤部のノリボケ感の残っているリアクションゾーン。第二部は岩井のサイコゾーン。第三部は再び澤部のリアクションゾーン。この三つの構成は、きっと第一部でツカミ、第二部で変化を出しつつウケを伸ばして、第三部で一気に爆発させる、という想定だったのでしょう。

ところが、第一部の澤部ターンで若干間がおかしくなり、ややツカミ損ねてしまう。続く第二部の岩井ターンは完全にドン引きされ、客席から悲鳴が上がってしまった。結果として、溜めに溜めた第三部の破壊力が弱まった結果になりました。

岩井のサイコターンに想定していた笑いが、そのままドン引きに変わってしまったのが全てです。ジャルジャル銀シャリとアングラではない漫才が続いたことで、馬鹿よ・スーマラ・和牛で出来上がっていたはずのブラック態勢がリセットされてしまったのでしょう。

あるいは、澤部が人気者過ぎたのかもしれませんねえ。キャッチコピーが「澤部、今日も騒ぐってよ」(これもちょっと滑ってますかね)であり、観客のイメージもノリボケ漫才。みんな明るくて楽しく、面白い澤部を観たかったのであって、ドス黒くてブラックな岩井のボケが響かなかったのかなとも思います。

なんだろうなあ、ここに関しては、テレビスターとしてのイメージと、もともとの出自である雑草芸人の価値観とのギャップが、前面に出てしまった形ですねえ。僕は、自分の好みもあって、一番岩井ターンで笑っちゃいました。ああいうサイコなネタ大好きなんです。場にハマらなかった、たまたま出来が悪かっただけで、とても面白い漫才だと思います。まあ今回はここが最下位だからといってタレントイメージが下がるとも思えないので、一番誰も傷付かない最下位だったんじゃないか、とも。「ようこそ、こちら側の世界へ」

 

タイムマシーン3号「太らせる」

10年前に決勝に上がったコンビが、10年越しのリベンジマッチ。そしてそのコンビの名前が「タイムマシーン」とは、何ともまあドラマティック。事務所移籍もあって環境も激変、本人たちの意気込みも相当なものだったでしょう。

ネタの仕上がりもえげつない程でしたね。ウケだけならジャルジャルと同率で一位、下手したら上回るくらいでしたね。中盤からは何を言っても拍手笑いが起こるという無双モード。優勝芸人のウケそのものでしたよ。

ネタ自体は、大喜利形式で言葉の変換を並列していくスタイル。ボケもツッコミも過不足ないフレーズで、適度に言葉遊びを楽しみながら、安定してウケを取って行く。もともとここは抜群の技術とワードセンスのあるコンビですから、この手のネタをやったら無敵なんですよね。

途中からの第二の能力者展開、ここも大爆発しましたねえ。「太らせるvs痩せさせる」のドラスティックな展開、ボケツッコミ交代はもうキレキレそのものでしたねえ。考えてみれば、この展開は何だかオンバト芸人っぽさもありますねえ。「滅びの呪文、タニタ」では会場が割れるほどの笑いが起こっていましたね。

にしても、オチはなんであんな小さなボケを一個入れたんだろう。絶対要らんかったなあ。「やめるんかい」がなかったらもっとスムーズだったし、拍手のタイミングでハケれたんじゃないかと思うんですがねえ。それと、ネタ後の絡みでちょっとグダったのも悪影響だったかもしれないなあ。ネタ本編の笑いの量だけで言ったら、どう考えても最終三組に残るべき出来でした。

もっとも、こういう大喜利羅列型のネタを嫌う人っているもんですし、デブネタ一本って言われたらその通りなので、低評価の人がいても仕方ないとこはありますが、それにしても可哀相。吉本・非吉本とか、関西・関東みたいな差も、依怙贔屓どうこうとかじゃなく、好みとして出てしまったようにも思います。審査員に他事務所や関東芸人もっと必要ですよねえ。この辺のバランスはまあ、仕方ないんですけどねえ。

まあ、勝とうが負けようが、ここは実力あるところですし、年齢的にも中堅なわけです。タイムマシーン3号ここにあり、と見せつけられただけで十分でしょう。年末年始のお笑い番組では引っ張りだこなのではないでしょうか。ライブも売り切れたらしいよ。M1効果ですわな。二本目してたらまず間違いなく優勝してたでしょう。「バクバクバクバク」

 

トレンディエンジェル

最初に言いますけど、僕トレンディエンジェルそんなに好みじゃないんです。特に今回のM1のネタは苦手なネタでした。だから、以下好き勝手揚げ足取る感じになってると思います。まあそう思って読んでください。

 

で、ネタの感想なんですけど、さすがに受け入れる土壌が出来過ぎていた、これに尽きます。挨拶だけで大爆発が起こるなんて異常ですよ。CMを挟んでの、満を持しての登場、ちょっと番組構成的に有利過ぎましたね。

ネタ自体はいつも通り、時期ものの話題、時事ネタにハゲを絡めて、勢いでゴリ押ししていくスタイル。ポップさと分かりやすさ、途中で言葉一つ聞き逃しても大丈夫な設計もあり、多少のミスをしても力技でウケを取って行くパワフルな漫才です。

しかしネタ、雑すぎやしないか?導入、クリスマスの話なのかハロウィンの話なのか全く分かりませんでしたよ。ちょっとごちゃごちゃし過ぎだし、ハロウィンで「いたずらしちゃうぞ」が恐い、というのも笑いどころを説明しきれてなかった。クリスマスに話題が切り替わるところも強引だった。話の流れもブツ切りで間もおかしい…。

…などなど、どう考えても、色々文句つけまくれるネタだったのですが、ハゲネタを言えばそこで一回空気がリセットされ、ドカンとウケる、っていうのはここの武器なわけで。多少笑いどころが空いても、斎藤さんがハゲるか、歌うか、たかしが時事ワードを言うかすれば拍手笑いが起こる、という特殊な状態。客、もう何言っても笑うんだろうなあという感じ。

例えば、「バッタ⇒ぴょーん」くらい崩したボケ、あれほんまに会場が面白いと思って笑ってるんでしょうか?あそこまで単純なボケを裏笑いじゃなしに表笑いとしてやられると、ちょっともう僕は笑えないんです。もうちょっと丁寧にやってくれ、と思っちゃうんですよね。

去年のTHE MANZAI一本目みたいな、天丼を軸にドカンドカンウケを取って行くスタイルならめちゃめちゃ面白いと思うんです。本筋無視でギャグがハマっていくこの状態、これが高評価になったのは完全に敗者復活マジックでしょう。斎藤さんが受け入れられ過ぎたような。

ただねえ、それでも力技で突っ切れるタイプのコンビなんだ、っていうのは事実なわけで、それこそがトレンディエンジェルの武器でもあるんですよね。僕はあんまり笑わないんですけど、楽しさは絶対的に感じるんですよね。どんなにごちゃごちゃしようが、トータルで楽しいネタに仕上がるのは、斎藤さんのタレントパワーそのものなのでしょう。漫才師たちは斎藤さんの勢いに負けたのです。「俺んとこ来ないか?」

 

最終決戦①銀シャリ「騒音」

ちょっとこのネタは、THE MANZAI2013でやったネタと同じやんけ感を感じてしまい、入れませんでしたね。別大会とはいえ、使い回しはなるべくやめてほしいなあ。まして銀シャリなんて、勝負ネタ他にもあったでしょうに。睡眠なり、テニスなり、ことわざなり、色々面白いネタあるんですから、何も一回テレビの賞レースでやったネタを焼き直さなくても、と思ってしまいます。

ネタそのものをフラットにみると、言葉遊び系のボケはジャルジャルと被っていて、かつジャルジャルより精度が低いので会場も乗って来ず。話題も何だか焦点が定まり切らず、鰻のボケを見ればいいのか、橋本のツッコミを聞けばいいのか、ネタの見方も今一つはっきりしない感じでしたね。

この時点で、優勝はないかなと。ああ、新ネタやって欲しかったなあ。「ベルリンの!?」

 

最終決戦②トレンディエンジェル「モテたい」

「解体新書」は鉄板ですねえ。序盤の立ち上がりは一本目よりかなり良く、これは優勝いけるかなあと思いましたが、途中で急に間を取って尻を撫で始めるホモネタ展開になっておいおい…と思いました。下ネタかつ間が悪いってこのコンビの芸風を考えると絶対要らないだろうに、何で入れたんでしょう。

基本的にこのネタは、モテたいっていう話題に合わせて様々な手段を提案していき、ハゲネタで落としていく、という並列構造。こっちの方が普段のトレンディエンジェルっぽいですよね。一部たどたどしくなる部分もありましたが、出来も一本目よりも良かったのではないでしょうか。

中盤~後半には、かなり良いボケが出てきます。「貸してみ」とか「パーセント」「日本ではそういうのね」みたいな細かくて面白いボケ、こういうのがいっぱい出てくるのが良い時のトレンディエンジェルですよね。これなら僕でも笑えます。

正直ね、ハゲギャグは、正直今人気だからウケてるだけであって、何年か経ってみたらあんまり面白くないと思うんですよ。ただ、細かいワードのボケは何回見ても面白いと思うんです。個人的にはギャグよりボケが好きなので、一本目より二本目が好みでしたね。全体的に低調な最終決戦の中で、一本目より良いネタを持ってきたということで、優勝はほぼ決まっていましたねえ。「貸してみ?」

 

最終決戦③ジャルジャル「スポーツ」

いやあ、失速でしたねえ。手元まで来ていた優勝を逃してしまいました。一本目と同じようなフォーマットのネタでしたが、うーん、これ、同じパターン二回つづけたから失速したわけじゃないように思いますよ。

単純に自分たちで作ったエンジンを使いこなせていない感がありました。一つ一つのワードが一本目より全体的に落ちるんですよね。「雷坊主の添い寝節」みたいなオリジナル単語の天丼があればもっと印象変わったのではないでしょうか。

このネタのシステムって、ボケのフレーズを何回も繰り返して言わなければならないこともあり、「ウィーン」「アドバンス」「ひとっぽっち」みたいなベタベタなボケは言えば言う程苦しくなっちゃうんですよね。ジャルジャルに期待されているのって、もっと聞いたことないような、珍妙な言葉のはずなんです。

そういう珍妙さでいえば、「イライライラ」以降のオノマトペ責めは面白かったですねえ。あのクオリティのボケを何個も入れて来たら良かったんですがねえ。

それから、後藤はね、「会話に何の内容もない」なんて言わない方がよかったのでは?このネタの弱点をみすみす自ら暴露した格好になっていたのでは?ちょっと気になりましたね。「飽きるわ!」

 

 

よかったらこの記事ののちに僕がはじめた漫才もみてください。 


カフカの時事漫才(2017春)

 

Taiki Obonai 2014-