僕が本当に面白いと思うこと

社会学専攻の京大院生の諸々

キングオブコント2015 今回の見どころ

明日10/11には、コント日本一を決める大会、キングオブコント2015が開催されます。まずは事前記事として、今回の見どころをいくつかまとめておきます。

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(後日追記)

大会が終わったので物凄く辛辣な感想記事を書きました。

 

 

各ネタ感想も書いております。

heshiotanishi.hatenablog.jp

 

 

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大会概要

・コント日本一を決める大会。
・審査基準はとにかく面白いこと。

ファイナリスト(ネタ順まま)

藤崎マーケット:大阪吉本
ジャングルポケット:東京吉本
さらば青春の光:ザ・森東
④コロコロチキチキペッパーズ:大阪吉本
うしろシティ松竹芸能
⑥バンビーノ:大阪吉本
⑦ザ・ギース:ASH&D
⑧ロッチ:ワタナベエンターテインメント
⑨アキナ:大阪吉本
⑩巨匠:人力舎

 1st stage(10組)⇒2nd stage(5組)によって戦われる。
500点満点の得点制。勝者一組が優勝。

 

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・見どころ①審査員制度の変更!

例年は準決勝で敗退した芸人100名が審査する方式であったキングオブコント。今年はその方式が変更となり、審査員5名による審査が行われます。その5名とは、ダウンタウン松本、さまぁ~ずの二人、バナナマンの二人、となっています。ここで注目すべきところは、大会の評価傾向が変わるのではないか?というところです。

従来は同世代の芸人が審査するという形式の都合上、斬新なネタ、オリジナリティのあるネタが評価されやすい傾向にありました。他の賞レースであれば到底勝ち上がれないような鬼ヶ島、2700、天竺鼠などのむちゃくちゃなネタが評価されてきたゆえんでもあります。

芸人が審査するということは、キングオブコントの形式上のアイデンティティであるとともに、大会としての方向性までをも決定している重要な要素だったのです。どんなにマニアックなネタでも、テレビでやりにくいネタでも、キングオブコントならばやってもいい。そういうお祭り感を演出していたのは、この芸人審査員制度でした。

しかしこの審査制度には、もちろんマイナスの面もありました。あまりにもマニアックなネタを評価し過ぎるがゆえに、twitterしかり、2chしかり、一般の視聴者に順位を納得してもらえない、という傾向があったのです。ある程度お笑いを見慣れている人じゃないと分からないような、伏線や巧妙なレトリック、例え話、メタ要素などがふんだんに盛り込まれたネタたちは、年に一回しかコントを観ないような視聴者層には全くと言っていい程届かなかったのでしょう。キングオブコントの視聴率はとうとう1ケタにまで下がっていました。

今年、その審査制度が変わる。このことが、大会で評価されるコントを変えるかもしれません。以前よりも正統派のコントが重視されるかもしれないし、発想重視のネタは評価されにくくなるかもしれない。テレビ的なバランスが考慮されての制度変更でしょうから、何かしらの変化はきっとあるはず。ジャングルポケットやバンビーノ、ロッチなど、テレビの人気者が決勝に残っていることからも、番組としての方向性の変化がうかがえます。そのあたりのさじ加減にまず注目です。

特にこの審査制度変更のあおりを受けそうなのが、巨匠とザ・ギース。巨匠のブラックユーモア溢れる演劇的なコントは、従来の審査形式であればかなり高い確率で高評価を受けていたのでしょうが、今回はどうか。ザ・ギースの構成点、芸術点の高いコントもまた、一般客を置き去りにしてしまう可能性もあります。

逆にこの制度変更が追い風となっているのが、さらば青春の光うしろシティ。どちらも高い技術に裏打ちされた正統派のコントですから、この審査方法だと減点しづらく、超高得点がつく可能性があります。あっさり優勝してしまうかもしれない。

 

個人的予想:松本、設楽は以前の芸人審査員のノリで採点する。ウケ具合はあまり考慮しない。日村、三村はウケ量で採点する。大竹は適当。お笑いクラスタは日村、三村の採点動向に良い思いがしない。ライト層視聴者は松本、設楽を叩く。大竹はどちらにも叩かれる。

 

・見どころ②「コント」というジャンルの進化!

お笑いに限ったことではありませんが、「競争」をすることであらゆるジャンルのあらゆる技術は進化を遂げてきました。例えば野球やサッカーなどのスポーツにおいて、日本が国際大会で結果を残すことができるのは、国内リーグでの競争あってのことですよね。

キングオブコントという大会は、4分という時間制限のある競技コントを、確実に進化させた大会です。大会がスタートしたのが2008年。当時の準決勝のDVDを観ると、「お客さんと店員」という固定されたフォーマットの「お店屋さんコント」がかなり目立ちます。人違いをする、言い間違いをするといったベタなボケがテンポよく挿入される、いわゆる「ありがちなコント」がかなりの量見受けられます。しかし、そうしたネタは2015年現在、コントの賞レースではほとんと見なくなりました。

また、ここ数年のキングオブコント決勝でかけられるネタは、いわゆる「笑いを取るためのフォーマット」が先にあって、その中で一つ一つのやり取り構成していくようなネタが多いです。ボケ・ツッコミありきのお笑いでは、もうなくなっているのです。昨年の決勝大会で1位、2位だったシソンヌ、チョコレートプラネットは、いずれもボケとツッコミが明瞭でないネタをやっていました。まず先に描きたい場面やシチュエーションがあって、その中での言葉のやり取りへと、コントが進化(あるいは変化)したのです。

(それがゆえに批判もされました。どうしてもツッコミがないと分かりにくいのでしょう。ツッコミというのはお笑いにおいて笑いどころを提示する役割を持っていますから。)

ベタからオルタナティブへ、定型からオリジナリティへ、日常から非日常へ。キングオブコントという大会を通じて、コントの世界は大きく羽ばたいて行きました。この、コントの質的な変化は、キングオブコントがもたらした財産の一つです。

もはや、ボケとツッコミが明瞭に分かれていて、お店屋さんなどの分かりやすいシチュエーションで展開されるコントは、大阪でも東京でも、若手芸人はほとんどやっていないのです。あの手のネタはサンドウィッチマンアンタッチャブルによってやりつくされてしまっている、という事情もあります。

お笑いブームと呼ばれた00年代を過ぎて早5年。視聴者のついていけないほどのスピードで、コントの世界は変わっています。この大会が終わったあと、少なからぬ視聴者が、00年代の芸人の名前を出して「●●が出てたら優勝だったな」とか「●●より面白いのいない」みたいに言うでしょう。結局お笑いブームが過ぎてからというもの、お笑いの変化にキャッチアップできる場が減っているのが問題なのです。今回、出場者のうちの誰かのネタが、お笑いブームを再び興すような爆発を見せることを期待しています。

 

個人的予想:大会終了後、お笑いも終わったな、コントつまんねえ、というようなツイートが乱立する。お笑いクラスタは、良い大会だったな、と振り返る。

 

・見どころ③関西芸人の逆襲!

キングオブコントという大会では、実は関西芸人は芳しい結果を残せていません。7回開催された過去の大会のうち、関西芸人が優勝したのはバッファロー吾郎が優勝した第一回のみ。そこから6年間、関西芸人は優勝から遠のいています。

ただ優勝できないだけにとどまらず、そもそも決勝進出ができない、という事情もありました。漫才は西高東低、コントは東高西低はよく言ったものです。先述したようなコントの進化の事情もあり、ボケ・ツッコミがはっきりと分離した関西風のコントは、「古い」「時代遅れだ」とされる事情もありました。

しかし、今大会では関西芸人、というか大阪吉本がかなり健闘しています。決勝にはアキナ、コロコロチキチキペッパーズ、バンビーノ、藤崎マーケットの四組が残りました。さらに、関東予選から勝ち上がったとはいえ、さらば青春の光、ロッチはもともと関西出身の芸人です。このあたりから優勝する組が登場すれば、関西芸人のモチベーションにもなることでしょう。西のコントも、全国で通用するのだ、と。

そもそも、東西でコントがどう違うのか。最近の傾向としては、関西の芸人もシチュエーション重視のネタを作ることが多くなってきました。ですから、基本的なネタのパターンやフォーマットの差はなくなってきています。ジャルジャルが登場したあたりからでしょうか、違和感のあるシチュエーションを作って、その中で登場人物が踊る、というようなボケ・ツッコミ未分化型のネタが、関西でも増えてきたのです。

大きな差があるとすれば、それは関西のコントはテンドン(コント内での同じパターンの繰り返し)が多く、関東のコントはストーリーの展開を見せるネタが多い、ということでしょうか。4分間の競技コントとして比較する場合には、「面白いフレーズが何回も繰り返されている」ようなコントと、「意外な展開がある」ようなコントでは、後者の方が点数が伸びやすい。こうした事情から、関西芸人のコントが冷遇される傾向があったのではないでしょうか。

もちろん今大会でも、例えばバンビーノなどはテンドン重視の構成のネタをしますし、コロコロチキチキペッパーズなどもそういう傾向があります。関西芸人としての特徴は維持されたまま、そこに何かしら一枚、例えばバンビーノならばリズム芸、コロコロチキチキペッパーズならばナダルの魅力を噛ませることによって、幅の広がりが生まれ、結果としての決勝進出となったのでしょう。

そういった意味から、僕は今回、関西芸人のコントに注目しています。東高西低を覆すような爆笑を期待しています。一応、僕も西に住んでいる人間ですから、関西の劇場が面白くなって欲しい、と切に願っています。

 

個人的予想:関東芸人が優勝するけれど、終わった後ネタが流行るのは関西芸人のネタ、という恒例のパターンになる。去年でいうシソンヌとバンビーノ。一昨年でいうかもめんたる天竺鼠

Taiki Obonai 2014-